業務委託・個人事業主の職歴の書き方
即答:業務委託・個人事業主は雇用契約ではないため「入社」を使いません。「Webデザイナーとして業務委託契約により活動開始」「◯◯商店を開業(個人事業主)」のように、職種か屋号+活動の事実を1行で書きます。やめたら「廃業」「終了」で締めます。
業務委託とは、雇用契約ではなく請負契約・委任契約に基づいて仕事を引き受ける働き方のことです。個人事業主・自営業・フリーランスの期間も、収入を得て継続的に働いた事実があれば履歴書の職歴として書けます。「会社に入っていないから職歴欄に書けない」というのは誤解で、空欄にするとかえって無職の期間に見えてしまいます。
なぜ「入社」を使わないのですか?——根拠と例外
職歴欄の「入社」「退職」は雇用契約の開始と終了を示す言葉です。業務委託・個人事業主には雇用主がいないため、「入社」と書くと契約形態を偽って見せることになります。代わりに「活動開始」「開業」「従事」という事実の言葉を使えば、契約形態まで正確に伝わります。
例外はNPO法人などの団体職員です。NPO法人でも雇用契約を結んだ職員であれば通常の職歴なので、「入職」(会社以外の勤務先の定型)を使います。委託や無償ボランティアとして関わった場合だけ、本ページの書き方になります。
フリーランス期間は「職歴」と認められますか?(諸説の整理)
| 説 | 内容 | 当サイトの評価 |
|---|---|---|
| 説A:雇用されていない期間は職歴ではない | 職歴欄には書かず、空白として扱う | 推奨しません。実際に働いた期間が無職に見え、不利になるだけです |
| 説B:収入のある事業活動は職歴として書く | 開業・活動開始の行を職歴欄に書く | 当サイト推奨。開業届や確定申告という客観的事実で裏づけられます |
| 説C:職歴欄は1行に留め、詳細は職務経歴書へ | 履歴書は事実の1行、実績は別書類 | 推奨(説Bと併用)。案件・実績の詳細は履歴書と職務経歴書の使い分けに従って書き分けます |
働いた実態のない期間を「フリーランスとして活動」と書いて埋めるのは経歴詐称にあたります。実態が説明できない空白期間は、空白期間を不利にしない書き方の例文集の伝え方で正直に扱うほうが安全です。逆に、実態があるのに謙遜して空白にする必要もありません。面接で「この期間は何をしていましたか」と聞かれる前に、職歴欄の1行で先に答えておくのが本ページの書き方の狙いです。
ケース別の見本8つ
見本1:フリーランス(業務委託)で活動中
職歴
2021 4 Webデザイナーとして業務委託契約により活動開始
現在に至る
以上
活動中の締め方は会社員と同じ「現在に至る」+右端の「以上」です。位置の詳細は「現在に至る」「以上」を書く位置が主担当です。
見本2:業務委託をやめて就職活動中
2020 6 ライターとして業務委託契約により活動開始
2025 12 同活動を終了
以上
雇用ではないため「退職」ではなく「終了」「廃業」で締めます。理由は書かなくて構いません。
見本3:個人事業主(開業〜廃業)
2015 4 ◯◯デザイン事務所を開業(個人事業主)
2024 12 ◯◯デザイン事務所を廃業
屋号があれば屋号で書き、「(個人事業主)」と契約形態を添えます。開業・廃業の年月は開業届・廃業届の日付と揃えると、記憶違いを防げます。
見本4:屋号のない自営業
2018 7 個人事業主として翻訳業に従事
現在に至る
屋号がない場合は「個人事業主として◯◯業に従事」と職種で書きます。「フリーランス」よりも「個人事業主」のほうが書類上の区分として明確です。
見本5:農業(家業に従事)
2016 4 実家の農業(◯◯農園・米作)に従事
2024 3 同従事を終了
家業の農業も、継続的に働いた事実があれば職歴です。「実家の」と書くことで家業への従事だと伝わり、経営者(親)との関係を面接で説明しやすくなります。自分が経営者なら見本3の「開業」の形を使います。
見本6:NPO法人の職員(雇用契約あり)
2019 4 特定非営利活動法人◯◯ 入職
2023 3 一身上の都合により退職
NPO法人の正式表記は「特定非営利活動法人」です。雇用契約のある職員は通常の職歴なので、会社以外の勤務先に使う「入職」で書きます(退職理由の文言は「一身上の都合により退職」の使い方と退職理由の書き方へ)。
見本7:会社員をしながら副業で業務委託
2017 4 株式会社◯◯商事 入社
2022 1 Webライターとして業務委託による副業に従事
現在に至る(株式会社◯◯商事に在職中)
主たる勤務先を軸に書き、応募先に関係する副業だけを1行添えます。関係しない副業は書かなくても詐称にはなりません。
見本8:会社を辞めて独立した
2013 4 株式会社◯◯システムズ 入社
2020 9 一身上の都合により退職
2020 10 ITエンジニアとして業務委託契約により活動開始
現在に至る
退職行と活動開始行を続けて書けば、独立の経緯が時系列だけで伝わります。会社員経験と事業経験がひとつの流れとして読める、再就職でも評価されやすい形です。
よくあるNG3パターン
| NG | なぜダメか | 直し方 |
|---|---|---|
| 「フリーランス 入社」と書く | 雇用契約がないのに雇用の言葉を使い、契約形態を誤認させる | 「業務委託契約により活動開始」に置き換える |
| 実態のない期間を「業務委託で活動」と書いて埋める | 収入・実績を答えられず、経歴詐称になる | 実態のある期間だけ書き、空白はP13の伝え方で正直に扱う |
| 案件名・取引先・実績を職歴欄に列挙する | 行が足りなくなり、履歴書の役割を超える | 履歴書は1〜2行に留め、実績は職務経歴書に書き分ける |
よくある質問
- Q. 開業届を出していない活動でも職歴に書けますか?
- A. 継続的に仕事をして収入を得ていたなら書けます。ただし面接で活動内容と収入の実態を説明できることが前提です。
- Q. 確定申告をしていない期間は書かないほうがいいですか?
- A. 働いた実態があれば書くこと自体は問題ありません。税務上の手続きの要否は履歴書とは別の論点なので、必要に応じて税務署・国税庁の案内で確認してください。
- Q. 「自営業」「個人事業主」「フリーランス」はどれで書きますか?
- A. 書類上の区分として明確な「個人事業主」を推奨します。「フリーランス」は通称なので、使う場合も職種名(Webデザイナー等)と併記します。
- Q. 取引先の会社名は職歴欄に書きますか?
- A. 書きません。取引先は雇用主ではないため、書くなら職務経歴書の実績欄です。
- Q. 農業の手伝い程度でも職歴になりますか?
- A. 生計に関わる労働として継続していたなら書けます。週に数時間の手伝い程度なら、職歴ではなく面接での補足や自己PRで触れる扱いが適切です。
- Q. 個人事業主としての売上や規模は書く必要がありますか?
- A. 履歴書には不要です。応募職種に関わるなら、職務経歴書に事業規模・実績としてまとめます。
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